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戦艦バウンティ号の叛乱 ~ 911 ~

 15,2014 01:15
私たちの島には 
伝統的な漁法がある
引き潮になった入り江に魚を追い込むために
舟の上や海岸から石を投げるのだ

私の祖父は 島一番の投擲漁師だったが
父の代になると
効率の良い 沖合漁法が隆盛し
その伝統は 神事でしか見られなくなった

しかし あの悪夢の日曜日
突発的に発生した嵐が 父親たちを 
ワタツミの神様の下へ連れていってしまった
そして再び この島の漁は 投擲漁法になった

 「今日も 大漁じゃのう」
 「ワシらに比べりゃ まだまだ 未熟じゃが 
  神さんだけは アイツの味方のようじゃのう」


マリンブルーの海に浮かぶ 真っ白な舟の上
舳先に立って 石を投げる彼

そして 石を投げるたびに どんぶりと揺れる舟のしんがりで
のんびりと煙草をふかしながら 毒づく老人二人
私は そのちょうど真ん中で
海の世界に逝った父を感じながら この生活がいつまでも続くことを願っていた

しかし そんな願いは 港についた途端に 儚く崩れた

 「Kenji君! 今日も調子いいねぇ!!」
漁を終えた私たちを待ち構えていたのは
バウンティ号のブライ船長(Charles Laughton)のように
どこか信用のおけない村長だった
その横には 黒づくめの男

 「このお方は 南海メッツのスカウトさんだ 
君を スカウトしてくれるそうだ」
村長が言った

彼の投げる石は
この島の誰よりも遠く そして誰よりも正確な場所に届いた
そんな彼の能力に目を付けた村長が
黒ずくめの男を 呼んだらしい

しかし 彼には全く興味がなかった
真っ白なシャツの村長も 黒づくめの紳士にも目を向けず
ひたすら 舟の整備を続けている
 
 「君が プロの選手になって活躍してくれれば 
  この島も有名になる
  そうすれば みんなも豊かになるんだ」
村長の言葉は 彼の耳に全く届かない
しかし そんな彼の背中に向かって村長が ほくそ笑みながら続けた
 「それに・・・
  君にだっていいことがある
  プロになれば ポルシェだって手に入るぞ 」
911

彼はピクリと反応した・・・
 「ポルシェ?!」

彼にとってポルシェは特別な車だった
 「いつかはポルシェに乗れるような男になれ」
それは彼のお父さんの口癖だった

・・・あの悪夢の日の後

浜に ポルシェ911のミニカーが漂着した
彼は それをお父さんからの贈り物だと信じている
彼にとって ポルシェは お父さんとの絆そのものだった

彼の心が揺れている・・・
私は彼に言った
 「行ってきても いいのよ」

その晩の月は いつもより大きくそして 赤い満月だった
彼とは二度と会えない そんな気がした

黒い紳士が 島を出る日が来た
彼も この島を去るはず・・・
臆病な私は 港に行くことはできず
一人 島の反対側にある 
投擲漁を行う入り江にいた

空と海の境目をぼんやりと眺めながら
時間がもっと早く流れてほしいと願った
彼との思い出が風化してしまうくらいに・・・ 

 「何やってんだ!」
!!
突然 目の前に彼が現れた!
 「Kenji・・・どうして・・・」
 「フレッチャー・クリスチャン(Clark Gable)は
  大切な人を 一人ぼっちにはできないとさ ho ho ho」
彼の後ろから 老人が二人顔を出した・・・

私たち四人は いつものように 海に出た
 「Kenji・・・ホントにいいの?」
涙が止まらない・・・ 
 「泣き虫のお前と 憎らしいおじいたちを 
  おいていけるか!」

そう言うと 彼は 立て続けに石を投げた 

すると 遠くにいた イワシの群れが
私たちの舟の 真横に 集まった
 「あっ・・・」

私たち4人のボートの下には イワシ達の群れで作られた
巨大な ポルシェ911があった

 「こうすりゃ いつでもポルシェに乗れる
  いつまでも助手席にいてもらうぞ」

彼の言葉に ”はい!”と元気良く答えたのは 私と老人二人だった

※1789年6月14日 ウィリアム・ブライ艦長以下19人の乗った救命艇が41日かけてティモール島に到着しました




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