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レ・ミゼラブル ~ Q3 ~

 07,2014 23:24
♪ ☎ ♪
「Sayoko 電話よ!」
 「はーい」
母に呼ばれて 電話に出ようとした私の前に 突然大きな壁が現れる
 「こんな時間に電話してくるなんて  ロクな奴じゃない!
  そんな男と付き合うな!」

今時20時を『こんな時間』と呼ぶ父は 元警察官 
21世紀の日本では考えられない 我家のルールが 
私を クモの巣に はまった蝶のよう拘束していた
それでも 父に対して 
反抗したことはなかった

Q3

しかし その日は 私を抑制してきた紫色のチェーンが
切れていた・・・

 「もうすぐ 私も30になるのよ!
  いい加減 子ども扱いはやめて!」

生まれて初めての 父への反抗
 「お父さんのおかげで 恋人どころか
  友達も作れないじゃない!」

~お前の親父さん怖いから~
~Sayokoの家は厳しいから~
そう言う仲間たちは 
いつも私との距離を 2歩離れた場所に設定していた
それも 全てお父さんのせい・・・
そんな思いに押し出された言葉は 
矢じりの様に尖った塊となって 
父の左胸にドスンと突き刺さった

父からの反撃は なかった
ゆっくりと 後ろを向いた父の背中は
いつもより二回りも小さく見えた
ジャベール(Russell Crowe)が身を投じたときのように



その日から 我家のルールは事実上機能しなくなった
ルールを破っても それを裁く見張り人がいなくなったから

これで 私も自由だ
大空を自由に 飛べるようになった私は 
気持ちを寄せていた彼との距離を急速に縮めることができた
 「一度しっかり ご両親に挨拶しないと・・・」
結婚を意識した彼の言葉に 
私は 浮雲の上を浮遊するような 心地よさを感じた

しかし 彼を両親に紹介するには 
しっかりとした計画が必要だと思っていた私は
彼とのデートを きまって近くの駅で終わりにしていた

門限は21時・・・
かつての我が家のルール
今日は既に21:30を超えていた
以前なら 父が怖くて絶対にできなかったこと・・・
それが 今では何の躊躇もなくできてしまう
少しだけ罪悪感を 感じながら 私は家路につく

ポツリ・・・
急に雨が降り出した
 「予報では 雨なんて言ってなかったのに・・・」
ここから 家までは 歩くと30分位・・・
傘なしでは到底帰れない 
駅前といえども 各駅停車の駅にはタクシーも停まっていない
「・・・どうしよう」
そう思った瞬間

Fannnnnnnnn!
クラクションが鳴った

Q3・・・父の車だった
 「偶然近くを通ったんだ・・・」

ポツリと父が言った

あの日以来 父と二人きりで 話をしたことはなかった
Q3の車内は 重力が3倍に感じられるほど重たかった
このままでは 押しつぶされる
そう思い始めたとき
父が言った
 「この車は お前も知っての通り アウディQ3だ
  それに合わせて クエスチョンを3つ させてくれ」
 「えっ?」
私が状況を把握する前に 父はしゃべり始めた

 「まず1つ目 恋人はできたか?」
 「うん・・・」

 「そうか それじゃ 二つ目 仲良くやっているか?」
 「うん・・・」

 「最後のクエスチョンだ 幸せか?」
私は胸を張って言った
 「はい」
父は 大きく頷くと それから 一言も話さなかった

家のガレージに付き 父が運転席から降りようとした
とその時
Q3の車内灯がほの暗く 点灯した
!!
運転席に付けられた 灰皿には 吸殻がこぼれるほど 詰まっていた
私は知っていた 
父がタバコを吸うのは 車内で人を待つときだけ・・・

 「職業病だよ・・・」
父はよく言っていた 警察官だったころの習慣・・・



!!
そういえば 私が門限を過ぎて 家に帰る日・・・
Q3はいつもガレージにいなかった・・・

 「お父さん・・・」
私は 少し前を歩く父に声をかけた
とその時 私の携帯が鳴った・・・

 「今何時だと思っているの!  明日にして!」
私は 父の娘なのだ



ジャヴェールが 川に向かって飛び込んだのは1832年6月7日のことでした





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