ナイアガラ ~ XK140 ~
01,2014 23:18
最近 近所の人から よく声をかけられる
「ごちそうさまでした 奥様によろしく」と
昨日は 交番勤務のお巡りさん
そして今日は 新聞配達のお兄さんにまで声をかけられた
カノジョは 何をしているのだろう
ペトリコールの匂いがツンと鼻を刺激した
空を見上げると
モッタリとした都会の晴天が広がるが
雨の降る気配はない・・・
きっと僕の中で 小さな雨雲が発生したのだろう
半年前 僕はカノジョと結婚した
山と海が背中合わせの 大自然に囲まれた街から
生まれて一度も出たことのないカノジョには
450km離れた
この大都会が どのように映っているのだろう
テレビもインターネットもない
身内は おばあさんだけだったカノジョに
都会暮らしができるのだろうか
そんな 不安を感じはじめた矢先の出来事だった
カノジョは いったい何をしているのだろう・・・
南国のスコールを髣髴させる大雨の晩
僕とカノジョが見た映画は ナイアガラ
可憐すぎる女性と
それを超える絶佳な瀑布が織りなすstory
外の雨を見ながら
「この家もナイアガラの下にあるみたい!」
無邪気に燥いでいた カノジョだったが
エンディングを向かえるころには
いつもよりぐっと 僕に体を預けてきた
「私たちは いつまでも 一緒だよね」
元気に田園の畦道を飛び回っていたカノジョが
とても華奢に感じた
「あの子は寂しがり屋さんなのよ
だから 一人にしないでくださいね・・・」
フワリとした笑顔のおばあさんが
僕に残した 最後のお願いが 僕の胸の中で木霊する
「もちろんさ」
目の前で僕を見つめるカノジョと
目を瞑ると にこりと微笑む おばあさんの
両方に 僕は誓った・・・
しかし 日に日にカノジョが
あの日観たモンローと重なり合っていく
僕の中の雨雲は いつしか積乱雲になっていた
「今日は 記念日だから 早く帰って来てね」
6月1日の朝 カノジョが言った
記念日・・・? 何の記念日だ?
結婚記念日には程遠い
もちろん誕生日ではない
告白した日か・・・
いや あの時は木枯らしが吹いていた
気になる僕は グーグルで6月1日を検索する
すると Marilyn Monroeが生まれた日と書かれている
発達した積乱雲から ギラリと稲妻が流れた
結局 僕は 何の記念日かわからぬまま 家路についた
会議が長引いたため 時計の針は22時を回っていた
「ごめん・・・
急いで帰ろうと思ったんだけど・・・」
いつものようにガレージまで出迎えるカノジョに謝った
「んー しょうがない!
その代り ヘッドライトをハイビームにしくれる?」
?!
僕は言われるままに XK140のヘッドライトを点灯させた
どんよりとした 都会の夜空に ヘッドライトの光線が浮かぶ
その前に立つカノジョの横には・・・ 扇風機?
「いくよ! えいっ!」
カノジョがリモコンのスイッチを押した
すると 無数のシャボン玉が飛び出した

夜空に舞った無数の シャボン玉は
どれもヘッドライトの灯りを受けて 虹色に輝いた
虹・・・? そうか!
初めてあの街を訪れたとき
夕立を避けるために 酒屋の軒下に避難した僕の隣に
カノジョが立っていた
トトロがジャンプでもしたような スコールが終わったとき
カノジョが言った
「あっ虹・・・」
目の前に 広がる海の上に 大きなリング状の虹が浮かんでいた
「輪っかの虹は 愛を運ぶんですって」
カノジョが ポツリと言った
それが6月1日だった
僕とカノジョの虹の記念日は 二人の出会い記念日
ローズ・ルーミス(Marilyn Monroe)は
虹を見れたのだろうか・・・
僕は 数えきれないリング状の虹を見つめながら思った
「はい! 貴方の大好きな プリンだよ!
何度か 近所の人に食べてもらって 練習したから
おいしさは お墨付き! 食べますか?」
「もちろん!」
僕たちはジャガーXK140のヘッドライトに照らされながら
プリンを頬張った
シャボン玉が飛び交う中
僕の中の 雨雲も何時しか消えて
大きな虹の輪っかができていた
※ XK140はMarilyn Monroeが所有していたスポーツカーです
「ごちそうさまでした 奥様によろしく」と
昨日は 交番勤務のお巡りさん
そして今日は 新聞配達のお兄さんにまで声をかけられた
カノジョは 何をしているのだろう
ペトリコールの匂いがツンと鼻を刺激した
空を見上げると
モッタリとした都会の晴天が広がるが
雨の降る気配はない・・・
きっと僕の中で 小さな雨雲が発生したのだろう
半年前 僕はカノジョと結婚した
山と海が背中合わせの 大自然に囲まれた街から
生まれて一度も出たことのないカノジョには
450km離れた
この大都会が どのように映っているのだろう
テレビもインターネットもない
身内は おばあさんだけだったカノジョに
都会暮らしができるのだろうか
そんな 不安を感じはじめた矢先の出来事だった
カノジョは いったい何をしているのだろう・・・
南国のスコールを髣髴させる大雨の晩
僕とカノジョが見た映画は ナイアガラ
可憐すぎる女性と
それを超える絶佳な瀑布が織りなすstory
外の雨を見ながら
「この家もナイアガラの下にあるみたい!」
無邪気に燥いでいた カノジョだったが
エンディングを向かえるころには
いつもよりぐっと 僕に体を預けてきた
「私たちは いつまでも 一緒だよね」
元気に田園の畦道を飛び回っていたカノジョが
とても華奢に感じた
「あの子は寂しがり屋さんなのよ
だから 一人にしないでくださいね・・・」
フワリとした笑顔のおばあさんが
僕に残した 最後のお願いが 僕の胸の中で木霊する
「もちろんさ」
目の前で僕を見つめるカノジョと
目を瞑ると にこりと微笑む おばあさんの
両方に 僕は誓った・・・
しかし 日に日にカノジョが
あの日観たモンローと重なり合っていく
僕の中の雨雲は いつしか積乱雲になっていた
「今日は 記念日だから 早く帰って来てね」
6月1日の朝 カノジョが言った
記念日・・・? 何の記念日だ?
結婚記念日には程遠い
もちろん誕生日ではない
告白した日か・・・
いや あの時は木枯らしが吹いていた
気になる僕は グーグルで6月1日を検索する
すると Marilyn Monroeが生まれた日と書かれている
発達した積乱雲から ギラリと稲妻が流れた
結局 僕は 何の記念日かわからぬまま 家路についた
会議が長引いたため 時計の針は22時を回っていた
「ごめん・・・
急いで帰ろうと思ったんだけど・・・」
いつものようにガレージまで出迎えるカノジョに謝った
「んー しょうがない!
その代り ヘッドライトをハイビームにしくれる?」
?!
僕は言われるままに XK140のヘッドライトを点灯させた
どんよりとした 都会の夜空に ヘッドライトの光線が浮かぶ
その前に立つカノジョの横には・・・ 扇風機?
「いくよ! えいっ!」
カノジョがリモコンのスイッチを押した
すると 無数のシャボン玉が飛び出した

夜空に舞った無数の シャボン玉は
どれもヘッドライトの灯りを受けて 虹色に輝いた
虹・・・? そうか!
初めてあの街を訪れたとき
夕立を避けるために 酒屋の軒下に避難した僕の隣に
カノジョが立っていた
トトロがジャンプでもしたような スコールが終わったとき
カノジョが言った
「あっ虹・・・」
目の前に 広がる海の上に 大きなリング状の虹が浮かんでいた
「輪っかの虹は 愛を運ぶんですって」
カノジョが ポツリと言った
それが6月1日だった
僕とカノジョの虹の記念日は 二人の出会い記念日
ローズ・ルーミス(Marilyn Monroe)は
虹を見れたのだろうか・・・
僕は 数えきれないリング状の虹を見つめながら思った
「はい! 貴方の大好きな プリンだよ!
何度か 近所の人に食べてもらって 練習したから
おいしさは お墨付き! 食べますか?」
「もちろん!」
僕たちはジャガーXK140のヘッドライトに照らされながら
プリンを頬張った
シャボン玉が飛び交う中
僕の中の 雨雲も何時しか消えて
大きな虹の輪っかができていた
※ XK140はMarilyn Monroeが所有していたスポーツカーです
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