七人の侍 ~ Axela ~
27,2014 00:16
ゴールデンウィークを間近に控えたある日
カノジョとのデートを楽しみにしていた僕に
突然のメール
”別れましょう”
僕の20代後半の年表は
5.5文字によって アトランティス大陸のように
史実から抹消されようとしていた
次の日 僕は修善寺にいた
5年前 鎌倉2代将軍頼家の墓前で
いつまでも手を合わせている
ウィステリアのワンピースを着た女性に出会った
それがカノジョだった
「優しいんですね・・・」
思わず声をかけてしまった僕
まさか 声をかけられるとは思っていなかったのか
カノジョは 顔を赤くしながら言った
「なんか・・・
この当たりの空気が そんな気持ちにさせるというか・・・」
ドロドロとした政権争いに飲み込まれた若き将軍のために
手を合わせる カノジョが
僕の想いと完全にシンクロしているようで
うれしかった
『そうだ あの頃のお前は 単純だった・・・』
「うわっ!!」
僕の隣には ちょび髭をはやした
和装の 小汚いオヤジが立っていた
はじめは頼家の亡霊かと思ったが
そうではなかった・・・ 侍・・・
改めて 覗き込もうとしたとき
ふぉわりと風が流れ 男は 消えた
どこかで見た顔なのだが・・・
ターンパイクを 窓全開で 走り抜ければ
もやもやした気分も すべて吹き飛ぶ
そう思ってやってきた伊豆・・・
しかし 結局はカノジョとの出会いの地
修善寺に到着してしまった
僕は ”少しだけ”と
自分と アクセラに言い聞かせながら
カノジョと歩いた
あの日のルートを再現することにした
十三士の墓標から 義経像を巡っていると
5年間の想いが フワリと浮かび上がる
「今月は忙しかったけど 何とか休みを取ったよ! さぁどこに行こうか!」
「ほら 給与は安くなって大変だったけど 君が好きな ケーキ買ってきたぞ!」
「久しぶりの休みだったけど 早起きしたよ!」
・・・??
なんで カノジョを思い出そうとすると
昔の僕が出てくるんだ・・・
『まだ気付かんか!?』
またしても浪人が 僕の隣に突然現れ そして叫んだ
さっきの男ではない・・・
『無駄だ 無駄だ』
その男の後ろから 今度は鎧を纏った別の男・男・男・男
「!!菊千代?? あっ!!」
ようやく僕は気が付いた
七郎次、勝四郎、勘兵衛、久蔵・・・それに菊千代、五郎兵衛、さっきのは平八だ
僕の大好きな 七人の侍たち
なんで彼らが現れたのか・・・
そういえば 映画「七人の侍」は ここ修善寺で撮影されたのだ
鎌倉将軍の思いと
僕のマイナス思考に触れたダークな気が
彼らを呼び出したのだろうか・・・
『まだ気付かんのか!』
久蔵が 菊千代と同じことを言った・・・
気付くも何も・・・
『お前 ワシらが好きだと宣っておりながら
わしの言葉も忘れたか!』
!!
『人を守ってこそ自分も守れる
己の事ばかり考える奴は、己をも滅ぼす奴だ!』
Zuzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz
僕の中の
灰色とは言いがたい脳細胞が
スペック以上に高速で起動した
「僕の言葉には
いつも・・・『だけど』 がついていた・・・」
『分ったか・・・お前があの娘にしてきたことを
いつも お前は 自分勝手だった
良い娘だよ あの娘は・・・
でも お前の心の押売りに あの娘の心は
少しづつ 切り刻まれた
そして ポキッと折れちゃったんだよ』
勝四郎が言った
僕なのか・・・
カノジョのことを思ってきたのに・・・
いや そう思うこと自体が 心の押売りか・・・
僕は がくりと跪いた
取り返しのつかないことをした・・・
ホントに好きだったのに・・・
いつしか 僕は 初めてカノジョと写真を撮った
修善寺ハリストス正教会顕栄聖堂の前に立っていた
『自分を見つめ直した お前には まだ未来がある
農民たちのように・・・』
七郎次の 藤の花の香りを残すような一言とともに
七人たちが 霞のように消えた
!!
教会の前には
ウィステリアのワンピースの女性がいた
「お写真・・・とりましょうか?」
僕はカノジョに声をかけた
!!
驚きと 不安と 怒りと ほんの少しの喜びが
カノジョの顔に浮かんだ

駐車場に止まるアクセラは
ガラス細工のように繊細な 二人の心を和らげるため
いつもより少しだけ
クラシカルなリズムで エンジン音を奏でようと 思っていた
カノジョとのデートを楽しみにしていた僕に
突然のメール
”別れましょう”
僕の20代後半の年表は
5.5文字によって アトランティス大陸のように
史実から抹消されようとしていた
次の日 僕は修善寺にいた
5年前 鎌倉2代将軍頼家の墓前で
いつまでも手を合わせている
ウィステリアのワンピースを着た女性に出会った
それがカノジョだった
「優しいんですね・・・」
思わず声をかけてしまった僕
まさか 声をかけられるとは思っていなかったのか
カノジョは 顔を赤くしながら言った
「なんか・・・
この当たりの空気が そんな気持ちにさせるというか・・・」
ドロドロとした政権争いに飲み込まれた若き将軍のために
手を合わせる カノジョが
僕の想いと完全にシンクロしているようで
うれしかった
『そうだ あの頃のお前は 単純だった・・・』
「うわっ!!」
僕の隣には ちょび髭をはやした
和装の 小汚いオヤジが立っていた
はじめは頼家の亡霊かと思ったが
そうではなかった・・・ 侍・・・
改めて 覗き込もうとしたとき
ふぉわりと風が流れ 男は 消えた
どこかで見た顔なのだが・・・
ターンパイクを 窓全開で 走り抜ければ
もやもやした気分も すべて吹き飛ぶ
そう思ってやってきた伊豆・・・
しかし 結局はカノジョとの出会いの地
修善寺に到着してしまった
僕は ”少しだけ”と
自分と アクセラに言い聞かせながら
カノジョと歩いた
あの日のルートを再現することにした
十三士の墓標から 義経像を巡っていると
5年間の想いが フワリと浮かび上がる
「今月は忙しかったけど 何とか休みを取ったよ! さぁどこに行こうか!」
「ほら 給与は安くなって大変だったけど 君が好きな ケーキ買ってきたぞ!」
「久しぶりの休みだったけど 早起きしたよ!」
・・・??
なんで カノジョを思い出そうとすると
昔の僕が出てくるんだ・・・
『まだ気付かんか!?』
またしても浪人が 僕の隣に突然現れ そして叫んだ
さっきの男ではない・・・
『無駄だ 無駄だ』
その男の後ろから 今度は鎧を纏った別の男・男・男・男
「!!菊千代?? あっ!!」
ようやく僕は気が付いた
七郎次、勝四郎、勘兵衛、久蔵・・・それに菊千代、五郎兵衛、さっきのは平八だ
僕の大好きな 七人の侍たち
なんで彼らが現れたのか・・・
そういえば 映画「七人の侍」は ここ修善寺で撮影されたのだ
鎌倉将軍の思いと
僕のマイナス思考に触れたダークな気が
彼らを呼び出したのだろうか・・・
『まだ気付かんのか!』
久蔵が 菊千代と同じことを言った・・・
気付くも何も・・・
『お前 ワシらが好きだと宣っておりながら
わしの言葉も忘れたか!』
!!
『人を守ってこそ自分も守れる
己の事ばかり考える奴は、己をも滅ぼす奴だ!』
Zuzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz
僕の中の
灰色とは言いがたい脳細胞が
スペック以上に高速で起動した
「僕の言葉には
いつも・・・『だけど』 がついていた・・・」
『分ったか・・・お前があの娘にしてきたことを
いつも お前は 自分勝手だった
良い娘だよ あの娘は・・・
でも お前の心の押売りに あの娘の心は
少しづつ 切り刻まれた
そして ポキッと折れちゃったんだよ』
勝四郎が言った
僕なのか・・・
カノジョのことを思ってきたのに・・・
いや そう思うこと自体が 心の押売りか・・・
僕は がくりと跪いた
取り返しのつかないことをした・・・
ホントに好きだったのに・・・
いつしか 僕は 初めてカノジョと写真を撮った
修善寺ハリストス正教会顕栄聖堂の前に立っていた
『自分を見つめ直した お前には まだ未来がある
農民たちのように・・・』
七郎次の 藤の花の香りを残すような一言とともに
七人たちが 霞のように消えた
!!
教会の前には
ウィステリアのワンピースの女性がいた
「お写真・・・とりましょうか?」
僕はカノジョに声をかけた
!!
驚きと 不安と 怒りと ほんの少しの喜びが
カノジョの顔に浮かんだ

駐車場に止まるアクセラは
ガラス細工のように繊細な 二人の心を和らげるため
いつもより少しだけ
クラシカルなリズムで エンジン音を奏でようと 思っていた
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