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エレファントマン ~ ブルーバード ~

 19,2014 23:54
僕は 映画が嫌いだ

小学生のころ 肥満体だった僕は
走るのが遅く 流行りの服も着ることができなかった
クラスメイトにバカにされる日々
それだけでも 引きこもり環境は抜群だった

そんな中 あの映画が公開された・・・
 「私は人間だ!・・・エレファントマン」
テレビでコマーシャルが流れたその日から
僕のあだ名は 「ゾウさん」になった

醜い容姿で 奇怪な生物として扱われながらも
誰よりも 純粋な人間性を貫く 
ジョセフ メリック(John Hurt)の半生を
描くハートウォームな映画も
子供たちには 凶器になった
毎日続く 言葉の暴力
 「ゾウさん 仮面をとれよ!」
 「キッーク!! ぞうさんだから 痛くないだろ!」
 「キャッ ゾウさんに見られちゃった・・・」



何もしていない ただ教室にいるだけなのに 
クラス中が僕を標的にした ・・・たった一人除いて
 「あんた達! また いじめてるの! いい加減にしなさい!」

そう言うのは 隣家で幼馴染 
いつも真っ赤なリボンで髪を結っていた クラス委員長だった
 「太っちょだからって 何がいけないの!
  ゾウさんは クラス一優しいんだから!!
  あんまりひどい事すると 先生やお父さんに言いつけるわよ!
  私のお父さんは おまわりさんよ!!」

両掌をぐっと握りながら叫ぶ

僕は カノジョのお父さんが 小さな工場の社長さんで 
警察官なんかじゃないことを 知っていた

カノジョの応援が無かったら 
僕は小学校を中退していただろう・・・
でもやっぱり カノジョも僕のことを”ゾウさん”と呼んでいた・・・
だから 僕は映画がきらいだ・・・

そんな僕らは くしくも 大学まで同じ学校に通うことになった
しかし カノジョはいつも 日なたを歩き 僕は日陰の住人だったから
二人が交錯する機会は ほとんどなかった

日蔭生活も 十年続ければ 人の心もウドのようにZunと骨太になる
多少の陰口には動じず 
キャンパスを軽やかに 歩くカノジョをちらりと目撃するだけで 
僕は 人生を 楽しめるようになっていた

すると 諸悪の根源だった 肥満体質も すっかり影を潜め
僕が エレファントマンと呼ばれていたことなど  
だれも 知らなくなっていった 
ただ一人を除いて・・・・

カノジョは 相変わらず 僕のことを”ゾウさん”と呼んだ
しかし そこには 暖かさがあった
カノジョと僕の ちょっとした秘密
”ゾウさん”という呼び名が少しだけ好きになったとき 
映画っていいものだと 思った

そんな緩やかな キャンパスライフに事件が起きた
カノジョの両親が経営する 町工場が倒産したのだ・・・

 「あの娘の家 倒産だってー かわいそうねー」
 「ホントね! でも遊びには行けないわね
  貧乏がうつりそうだし もしかすると 同情するなら金をくれ!
  なんて 言われるかもー」 
ケタケタと笑いながら 話すのは カノジョの元友人たち
僕には 彼女たちが 血の通わないオートマータのように見えた

その日 僕は初めて エレファントマンを観た
怪物のような容姿でありながら 
登場人物の中で一番人間らしい人だったジョセフメリック(ジョンハート)を見て
僕は 誓った

次の日 学校を休んだ僕は 父の車の愛車 ブルーバードSSSを借りると 
隣家のドアをノックした
どんよりとした 空気に包まれたカノジョは 日陰の住人になっていた
 「ここに居ちゃ いけない!」
僕は カノジョを助手席に乗せると 思い切りアクセルを踏み込んだ
カノジョを包み込む 黒いヴェールを払いのけるために・・・

Blu sss

無言のドライブは きっちり120分・・・
小高い丘の駐車場にSSSが止まった

  「さて ここからは歩くよ!」

僕はカノジョの手を引いて 丘の上を目指した

 「うわっ!」
カノジョの声を 久しぶりに聞いた・・・

丘の向こうには 一面菜の花の黄色い絨毯 
そして向こう側には 真っ青な海と蒼い空が 境界なく広がっていた

カノジョの周りが 少しづつキラキラと 輝きはじめる
 
 「やっぱり 君には日なたが似合う」
ぽつりと言う僕に カノジョが言った
 「どうもありがとう でもどうして こんなに優しくしてくれるの?」
 「それは・・・ 何度も君に助けてもらったから・・・」

・・・
カノジョは 僕をジッと見つめる 
時が止まる・・・
海岸から風に乗って届いた潮の香が 
僕たちを包み込んだとき
カノジョの 小さく淡いピンクの唇が動いた

映画なら このシチュエーションは 抱き着いてキス そしてハッピーエンドだろう・・・
しかし・・・

 「学校で 貴方をかばい続けたのは 私の内申書がよくなるからなの
  別に 貴方のことを思ってやったわけじゃないのよ・・・」
!!
驚愕の事実・・・
やっぱり 映画は嫌いだ

 「分かった?ゾウさん! だから 私たち これで最後ね!」
ジョセフメリックの人生に感化された自分が愚かだった・・・
そう思いかけたとき
カノジョの両掌がぐっと 握られているのが見えた
 
よく 分かった・・・

 「それでも 僕には君が必要なんだ!」

Syuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu
カノジョの 周りに最後まで立ち込めていた 
黒いヴェールが 消えた

駐車場に止まる 青い鳥は
やっぱり 幸せの鳥だったようだ

若い二人を遠くから 見守る銀色の青い鳥
ヘッドライトには
老いても 寄り添う二人の姿が映っていた
それは 映画のハッピーエンド そのものだった




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