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クールランニング ~アルピーヌA110 ~

 08,2014 23:56
部屋に戻ると
アスカソASCASOから香る
仄かなエスプレッソの残香だけが僕を迎え入れた

5年間一緒に暮らしたカノジョは 手紙一つなく 
僕の前から 姿を消した

 「どうして・・・こんな別れ方ができるんだ!・・・」

翌日僕は
カノジョが残していったエスプレッソの香りを消し去ろうと
大雪が降る中 部屋の窓を全開にした

 ”ハックション!!”
20年ぶりの大雪警報で 街は凍えていた

 ”ハックション!” 
今のくしゃみは 僕のハートがマイナス10度に達した印だ
くしゃみが出る度に 
カノジョとの思い出が 消えてゆくような気がして
心の重みが薄らいだ

そうは言っても・・・
寒さに負けた僕は 愛車のルノー Alpine A110に
毛布を持参して避難することにした

Alpine A110

可憐な流線型の軽量ボディにオールアルミのエンジンを積んだA110は 
1970年代のWRCに挑む名車たちを悉く凌駕した
向かうところ敵なしのじゃじゃ馬
情熱的で やんちゃなところが 何とも言えない車だ

そう まるでアイツのように・・・
ニコリと微笑むカノジョが顔が浮かぶ
 「はい どうぞ!」
バリスタを目指すカノジョは 
毎朝僕にカプチーノを淹れてくれた
フォームミルクによって均整の取れたハートマークの上に
”スキ スキ”と書かれていた
照れ屋の僕は 敢えて反応せずに
スプーンでカプチーノを掻き雑ぜて飲んだ
 「子供みたい・・・」
と言ったカノジョの声は 今考えてみれば どこか寂しそうだった

 ”ハッ・・・ハクション!”
軽量化されたA110の車内は  
とても狭く冷たい 決して安らげる空間ではなかった

 「この車 ボブスレーみたいね」
冬になるとカノジョは よくそんなことを言っていた

 ”ハックション!”
そんなカノジョの思い出も 消えていく・・・

Zuzuzu・・・
あまりの寒さで 鼻水が出てきた・・・
仕方ない・・・
僕はA110の車内を暖めるため 1600CC空冷エンジンに火を灯した

Groooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooo



ボブスレーと言えば・・・ 
ラテアートの勉強を始めたころのカノジョが
クールランニングを見た後に言った言葉を思い出した
 「どんなことがあっても 彼らみたいに 
  レゲエ精神を忘れずに 笑顔で乗り超えましょうね!」

その時作ったカプチーノには
カナダ国旗が浮かんでいた (カノジョはハートを作ろうとしたらしい・・・)
 「バンクーバーをイメージしたのか 才能あるな!」
僕がフォローをすると カノジョは満面の笑顔で僕にキスをした
あの日を境に カノジョは バリスタを本気で目指し始めたのだ

そしていつしかカノジョは 
本格的にバリスタとして 働き始めた
仕事が忙しくなると 二人の生活リズムが合わなくなっていった
同じ部屋に居ながら 会話はほとんどなくなっていた

そんな中でも 二人の唯一の接点は
カノジョが作る 朝一番のカプチーノ
綺麗なハートマークが 毎日様々な形でアレンジされていた

僕にはそれが 当たり前になっていた・・・

!!!

いつしか カプチーノにハートが描かれなくなっていたことを 
僕は たった今 気付いた
ハートが無くなったのは いつからだったのだろう・・・
思い出せない・・・

そう すべての原因は 僕にあった
カノジョを空気としか思えなくなっていた自分に・・・
 
「ゴメン・・・」

瞳から 涙がこぼれたとき
 「ハックション!」
これ以上 カノジョとの大切な思い出を 消したくない
そう思ったとき
ヒーターで暖められた車内にカプチーノの香りが充満した

!!

アルピーヌに乗ってる時も
自分を思い出してほしいと
カノジョが置いた 自家製coffee豆の芳香剤だった・・・

家に戻った僕は
アスカソASCASOの電源を入れた

カプチーノをつくる そして
泡立てたミルクを注いだ

コーヒーカップにはただ真っ白なキャンパスができただけだった
僕は その上にチェリーを一つ乗せる
ジャパンフラッグの完成!
カノジョと一緒に応援した
バンクーバーオリンピック

4年後の今年 
カノジョの思い出を隣に感じながら
僕は ソチオリンピックの開会式を祝った

部屋にはカノジョがお気に入りの
ミュージックが流れていた
今の僕の想いそのものだった







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