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ベントレンタカー ~ GT Speed ~ アパートの鍵貸します ~

 30,2013 23:15
「週末 よろしく」
右手をサッと上げると 180度Uターン
ダンヒルエディションの香りを残して去っていく
無駄な動きは一切しない 僕の上司(ダンヒル)は 
次期役員と噂される出世頭
彼についていけば 安定した生活が約束される

平凡な僕が 会社のトップスターの下で働けるには訳があった
それは 愛車 ベントレーコンチネンタルGT Speed・・・

Gt speed

英雄色を好むとは よく言ったもので 
ダンヒルもまた その公式に従っていた
既に家庭を持つダンヒルは BMW5シリーズを保有しているが
不倫デートには 僕の愛車を利用した

車だけが生きがいの僕が ローンで購入したGT Speedは
フラーデーナイトだけ ダンヒルのデートカーになる
自分の将来と 愛車の維持費のため・・・
ベントレーのレンタカー・・・
『アパートの鍵貸します』ではないが 
僕の生活はバド(Jack Lemmon)そのものだった 



しかし・・・
いつものように 土曜日の13:00 
皇居のお堀端にあるシティホテルの駐車場へ 愛車を迎えに行くと
まだ車内には ダンヒルと女性がいた

慌てて 隣のレンジローバーに身を隠した僕は
助手席に 憧れのカノジョがいることに気付いた

会社の受付に立つ 
ペーパーホワイト(地中海原産のスイセン)のように可憐なカノジョは
僕と同郷だった 
都会での厳しい洗礼を受けたときに 励まし合う仲間だった

一度だけ 僕はカノジョに告白したことがある
カノジョは それを冗談だと思った
僕の中の 小さなプライドは それを肯定するしかなかった
しかし 心のポケットに仕舞い込まれた その想いは 
6等星ほどの輝きを灯し続けていた

 「カノジョが ダンヒルと・・・」
僕は 駐車場を出た 
クリスマスの準備が整った丸の内・・・
昼間だというのに 1等星のイルミネーション煌々と輝く街を
僕はあてどもなく彷徨った

翌週 僕はアイツと付き合うべきではないと カノジョに助言したが
その代償は 
Pachiiiiiiiiiiiiiiiin!
左頬への 真っ赤なもみじだった

カノジョが望んでいることだ・・・それに僕の出世のためでもある・・・
そう割り切るしかなかった

それから 僕は 愛車を取りに行く時間を遅らせることにした
ダンヒルとカノジョが一緒にいるところを 二度と見たくなかったから・・・

サンタクロースが 世界中の子供たちにプレゼントを用意し始める
12月のはじめ
受付のカノジョが 眼帯をしていることに気がついた
理由を聞く僕に うつむくカノジョ
僕は 強引に眼帯を外した 
右目の廻りが 真っ青だった
 「アイツかい?・・・」
僕が言うと カノジョの眼が潤んだ

階段を駆け上った僕は 
モーニングカフェを飲みながら 新聞を読むダンヒルの右頬に
ベントレー最速の
コンチネンタルGTスピードのような 左ストーレートを打ち込んだ
 「なっ 何をするんだ!」
小さく震える ダンヒルに
いつものような 威圧する雰囲気は 感じられない
 「不倫するのは勝手だ! でも 女に暴力振る奴は 許せない!」

クビだ!と叫ぶ 小動物のようなダンヒルに
好きにしろ!と言い残して 僕は会社を去った

その日
僕はベントレーとの最後のドライブを楽しんだ
会社を辞めたら こいつを養ってはいけない・・・
なにもかも失った・・・しかし 
僕の心は 一点の曇りもない 久しぶりに清々しい気分だった



 「このマンションも引越しだな」
そんなことを思いながら自宅に戻ると 扉の前にペパーホワイトが立っていた

 「無断早退は 減俸よ! 代わりに書類提出しておいたから ありがたく思いなさい!」

!!

事態が つかめない僕は エンスト状態・・・
 「いつまで この寒い中 か弱い女性を立たせておくのかしら・・・
  あっ その前に この街をもっとよく知っておきたいな
  これからずっと 住むんだから・・・」
カノジョがニコリと笑った

僕とカノジョとベントレーの三角関係が 動き始めた




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